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現代の高齢化社会の流れの中、

「認知症」は一般の方にとっても身近な疾患として知られるようになってきました。

その中で、

「家族が認知症かどうか簡単に検査したい」という悩みを持つ人が多くみられます。

結論からいうと、周囲の家族または本人が不安に感じた時点で、

一度認知症外来を受診してみることを勧めます。

ですが、認知症外来に行くのに勇気が出ない方もおられます。

今回は、病院などの医療機関でもよく使用されている認知症の検査をご紹介します。

「長谷川式認知症スケール(HDS-R)」と呼ばれるもので、質問式の検査になります。

検査者が検査方法を知っていれば、自宅でも可能な検査ですので、一度この記事を見て覚えていただければと思います。

また、臨床でHDS-Rを使用する医療従事者の方々で、検査方法などを確認したい方も是非参考にしていただければと思います。

認知症を持つ人はどんどん増えている

現代社会では、高齢者の増加に伴い認知症患者の人数も右肩上がりに増えています。

厚生労働省の2015年の発表では、

日本の認知症患者数は約460万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症を持っていると言われています。

また認知症だけでなく、認知症の前段階とされる

「軽度認知障害(MCI)」を持つ高齢者を含めると、

高齢者の約4人に1人が認知症、または認知症予備群という訳です。

実際には、受診しておらず認知症と診断されていない方々もいらっしゃるので、正式な発表よりも認知症高齢者の人数は多いと思われます。

認知症の診断基準とは?

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認知症患者が増えているのは分かりましたが、では何をもって「認知症」と診断されるのでしょうか?

世間一般で誤解されやすいですが、

「記憶が悪い人が認知症」という訳ではありません。

認知症と診断されるには、国際的な診断基準を基にされる事が基本です。

その中の1つである、米国精神医学会が提唱する診断マニュアル(DSM-5)を例に見ていきましょう。

・DSM-5による認知症の診断基準(2013年)
A:1つ以上の認知領域(複雑性注意、遂行機能、学習および記憶、言語、知覚-運動、社会的認知)において、以前の行為水準から有意な認知の低下があるという証拠が以下に基づいている

(1)本人、本人をよく知る情報提供者、または臨床家による、有意な認知機能の低下があったという概念、および
(2)標準化された神経心理学的検査によって、それがなければ他の定量化された臨床的評価によって記録された、実質的な認知行為の障害

B:毎日の活動において、認知欠損が自立を阻害する(すなわち、最低限、請求書を支払う、内服薬を管理するなどの、複雑な手段的日常生活動作に援助を必要とする)

C:その認知欠損は、せん妄の状況でのみ起こるものではない

D:その認知欠損は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:うつ病、統合失調症)

ポイントだけ掻い摘むと

  • 認知機能とは記憶だけでなく、注意力や物事を計画立てて行う能力、社会性なども指す。
  • 1つ以上の認知機能が落ちて、自立した生活が困難になったり著しく支障が出る人を、「認知症」とする。
  • 認知機能が落ちていても、自立した生活が出来ている人は軽度認知障害(MCI)とされる。

なんとなくイメージがついたでしょうか?

生活に支障が出るほどの認知機能障害がある場合に、認知症と診断されるのです。

また認知機能が落ちているかどうかは、神経心理学検査を通して判断されます。

長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは

精神科医である長谷川和夫氏が開発した簡易知能検査です。

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https://www.chiba.med.or.jp/personnel/nursing/download/text2012_10.pdfより引用

上記サイトはPDFで掲載してくれています。

約9項目の質問を行ない、30点満点の合計点数で評価していきます。

21点以上を非認知症群

20点以下を認知症群

として判断します。

先ほどの認知症の診断基準で説明したとおり、

この検査で20点以下だったからといって必ず認知症であるとは限りません。

しかし、医療機関で代表的に使われている理由は、簡易的に検査が取れる上に信頼性も高いためです。

この検査結果を1つの参考にしながら、認知症診断を勧めていくのです。

長谷川式認知症スケール(HDS-R)の検査方法

ここからは、実際の検査方法を解説していきます。質問の方法や言葉の違いによって、点数が変わる場合もあります。

なるべく正しい検査方法で行えるようにして下さい。

必要なもの

※5つの物品に関しては検査内で使用します。(鉛筆と消しゴムのような関連が強いものはNG)

以下からは質問の項目ごとに解説していきます。

①年齢

現在の年齢を答えてもらいます。

数え歳などで答えられる方もいるため、

原則2歳までの誤差は正答としています。

生年月日は思い出せる方がいますが、年齢として答えられなければ加点出来ません。

②時間の見当識

  • 曜日

を答えてもらいます。

年は西暦、元号のどちらでも構いません。

この項目からは誤差が認められませんので、1日違いでも減点になります。

③場所の見当識

今いるこの場所を答えてもらいましょう。

もし5秒待っても答えられない場合は、家か病院か施設という3つのヒントを提示して選んでもらいましょう。

「○○○病院」でも「病院」でも、自身のいる場所が認識出来ている様子であれば加点してよいでしょう。

④3つの単語の直後再生

「桜、猫、電車」もしくは、「梅、犬、自動車」のどちらでもいいので、検査者が選択します。

その3つの単語を呼称し、再度被検者に呼称してもらいましょう。

難聴などで聞こえなかった場合を除いて、基本的には一度しか伝えてはいけません。

呼称出来たら、「少し後でもう一度尋ねるので覚えておいて下さい」と声をかけましょう。

⑤計算

100から7を引いてもらいます。

93と正答出来た場合、「そこからもう一度7を引いて下さい」と指示します。

1回目で間違えた場合は、そこで終了します。

自分が答えた93という数字を記憶しながら、再度計算する能力も問われます。

よくある検査ミスが、

93から7を引いて下さい」と指示してまうパターンです。

こちらから93という答えは発言しないように注意しましょう。

⑥数字の逆唱

「今からいくつか数字を言うので、あなたは逆から読んで下さい」と指示します。

意味が理解出来ていない場合は、

「例えば私が1.2.3と言ったら、あなたは反対からなので3.2.1と答えて下さい」と説明するのもよいでしょう。

途中で詰まってしまう方もいますが、これも基本的には一度しか伝えてはいけません。

3桁を間違えた場合は、そこで終了します。

⑦3つの単語の遅延再生

④で覚えてもらった3つの単語を、思い出して言ってもらいます。

答える順番はバラバラでも問題ありません。

思い出せない場合は、それぞれにヒントを提供しましょう。

⑧5つの物品記憶

用意している5つの物品を順番に、目の前に並べていきます。

物品自体が何なのか分からない方もおられるので、口頭で確認しながら提示するとよいでしょう。

並べて一通り確認した後、全て隠しましょう。

その直後に何があったか答えてもらいます。

順番はバラバラでも問題ありません。

答えた回答それぞれ一点で採点しましょう。

※関連性の強い物品だと、1つの物品の記憶を頼りにしてしまう場合があるので、無関連なものを用意しましょう。

⑨語想起、言葉の流暢性

思いつく野菜を出来るだけたくさん言ってもらいます。

10個言えた場合、もしくは10秒答えられなかった場合はそこで打ち切り終了します。

同じ野菜を答える場合などには、「他にはありますか?」と促しても構いません。

6個以上から、それぞれ一点ずつ加点されていきます。

その他の注意点

・周囲が騒がしかったりすると、思考が鈍くなったり集中出来ない方もおられます。なるべく静かな環境で検査を実施するのが望ましいでしょう。

・検査をされる側は、いろいろ質問され負担になる場合もあります。疲れの具合など配慮しながら行いましょう。

・耳が聴こえない方に筆談で行うなど、逸脱した検査方法で行う場合も臨床場面ではたまにあります。しかし、その場合は検査としての信頼性は低くなるので留意して下さい。

自宅で実施して20点以下だった場合

自宅で家族などと検査を行い、20点以下だったり20点台前半などで不安を感じた場合は、周囲の認知症に通じている外来を受診しましょう。

本人に結果を説明する事で、納得される方もいますが、逆に納得されない方もいます。

そのような場合も、ひとまずかかりつけの病院などに一度電話して相談するのが望ましいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

認知症は現代人にとって、切っても切り離せない疾患の1つです。

本人や周囲の人々が、無理なく自分らしく生活していくためには、早期に認知症を発見する事が重要になります。

少しでも困っている皆さんの役に立てば幸いです。

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